同じ就活だとしても、「高卒か大卒か」「新卒採用か中途採用か」によって、就活の流れや入社後の教育内容が異なります。
求人の内容に関しても、高卒者を積極的に採用している企業と、採用していない企業が存在しています。新卒の、さらに高卒での就職を希望するなら、何に気を付けつつ就職活動を行えばよいのでしょうか。
今回は、高卒新卒での就活ならではの注意点と、高卒者採用が注目されている理由について説明しますので、高校卒業のタイミングで就職すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
新卒は第二新卒や中途採用よりも求人数が多く、就職先の選択肢も数多くあります。企業によっては新卒以外の求人を行っていないケースもあるため、現在高校生の方は新卒の間にいかにチャンスをつかめるかが非常に重要です。
以前だと高卒は正社員の求人が少なく、仕方なくフリーターになってしまうということが多かったです。
しかし、2023年現在では介護、運送、飲食など多くの業界で人手不足が叫ばれており、ハローワークなどでも高卒者の求人が目立つようになってきました。
実際に厚生労働省発表の"令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ"によると、平成23年度から令和2年度にかけての高卒向け求人数は連続で増加しており、令和3年度では新型コロナウイルスの影響もあり10年ぶりに低下してしまいましたが、以降はまた増加傾向にあります。
参照:厚生労働省高校新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況の推移(7月末現在)
「学歴の高さよりもポテンシャルを重視したい」「フレッシュな人材を採用したい」という企業の声も比較的多く存在しています。少子高齢化で若い人材を集めづらくなる中、高卒者採用にますます注目が集まりつつあります。
"新卒"というカードは、一生において一度しか使えない貴重なものです。採用されても、軽い気持ちで応募先を決めたため、仕事内容や社風が期待していたものと違ったことで退社や転職をすることになってしまうのは大変もったいないことです。就きたい職業を明確にしていき、しっかりと事前準備をした上で高卒就職に臨むようにしましょう。
求人票の情報だけでなく職場見学などにも積極的に参加して、高校在学中にしっかりと情報を集めて新卒での就活を成功させること、自分に合った企業と仕事を選んで辞めずに働き続けることがとても大切です。
関連記事:高校生の就職活動を成功に導くためのポイントは職場見学!?
高卒の新卒として就職する場合、企業から手厚い教育を受けられるのが大きなメリットです。中途採用者や大学の新卒者と異なり、高卒新卒者のほとんどが高校生時代にアルバイト経験がなく、ビジネスのことを知らないまま入社することとなるでしょう。
企業側もそのことを理解しているため、高卒新卒者のポテンシャルを見込んだ上で、より手厚い教育を行ってくれる可能性が高いです。
高卒の新卒者に向けて行われる教育としては、以下のものが挙げられます。
新人を採用する企業側としても、採用した人が少しでも長く働いてくれることを望んでいます。高校卒業後すぐに働くのであれば、社会人に必要なビジネスマナーなど、基本的な部分から教育してもらえるでしょう。これらは販売営業職から受付職、事務職までどのような仕事でも基本となる部分です。企業の教育体制に感謝しつつ、熱意をもって仕事に臨むことが大切です。
新しい環境で働くにあたって、高校生のときとは違い、上司や先輩から厳しい指導を受けることもあるでしょう。けれども立派な社会人として育てるために、あえて厳しく指導しているケースもあります。パワハラやセクハラに該当しない限り、しっかりと指導を受け止め、自分自身の能力向上につなげましょう。
高卒で就職をするなら、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。就活が本格的に始まる前に、求人や選考、採用について大卒就職との違いについてもチェックしておきましょう。
高卒就職には「一人一社制」のルールがあります。気になる求人がたくさんあったとしても、一定期間は一人一社のみの応募となるのがポイントです。大卒就職のように複数の企業の求人に応募し、社風を比較しつつ就職先を決めることはできません。
一次募集で採用が決まれば、基本的にはそのまま内定を承諾する形となります。最初に受けた企業が不採用であれば、二次募集で新たな企業の求人に応募が可能です。採用ルールについては、年度や地域によって異なることがあるため、最新の情報を確認しておきましょう。
参考:大阪の高校生、就活「1人2社」の複数応募可能に 2022年度から、高卒採用の「一人一社制」ってどんなルールなの?
一人一社制によって就活の自由度は低くなるものの、一社の選考に集中できるようになります。複数の面接や試験に追われることがないので、学業にも十分に打ち込めるでしょう。第一志望を決める前にしっかりと自己分析と業界研究を行い、月給などの待遇面も考慮しながら自分の適性に合った仕事内容、求人内容の企業を選ぶことが大切です。
高校生の就活では、企業に対して履歴書と調査書を提出する必要があります。調査書は学校が用意し、履歴書は高校生本人が作成します。
ただし大学就職とは異なり、指定の全国高等学校統一用紙を使わなくてはならないことに注意しましょう。市販の履歴書を代わりに利用したり、企業が作成した用紙を提出したりすることはできません。履歴書には所持している資格を記入できる欄もあります。何らかの資格を持っている場合は遠慮なく資格欄に書き、企業にアピールしましょう。
関連記事:高校生の就職活動では履歴書の書き方で注意するところはココ!
大卒就職の場合は、書類選考の時点で落とされることもあります。
しかし、高卒就職の場合は基本的に、書類選考だけで合否が決まることはありません。応募すれば必ず面接や適性検査が行われますので、応募した企業から内定をもらえるよう、入念に準備をしておきましょう。
ただし、高卒就職は一人一社制であるため、内定が出るまでに時間がかかります。そのため、第一志望の企業選びが非常に重要です。自分の能力や適性、希望を考慮し、営業職や事務職などの職種から絞っていくのか、給料などの待遇面、企業の社風を第一に考えるのか等よく考えて選んでいきましょう。
高卒向け求人を探す際なら、ハローワークを利用してみるのも一つの方法です。ハローワークでは、若年層向けの就活支援や情報提供サービスを使用できます。また、高卒者向けの就職支援サービスを行っているジョブドラフトの活用も検討してみて不明点があったり、行き詰まりを感じたりしたらこれらを活用してみるのも良いかもしれません。
高卒の新卒として就職活動を行えるのは人生で一度きりです。
高卒の新卒で採用されれば、新人向けの手厚い教育サポートや資格取得のサポートを期待できるので、入念な事前準備を行い、新卒で採用されるのチャンスを逃さないようにしましょう。
高卒就職と大卒就職とでは、就活のスケジュールや求人への応募・採用方法など多くの点が異なります。一人一社制など、高卒就職ならではの就活ルールを知っておくことが大切です。高卒新卒での就職を目指すなら、進路指導の先生に相談しつつ就活を進めていきましょう。