
社会保険料って給与からいくらお金が引かれるの?
社会保険は、多くの高校生にとってはまだなじみのない制度かもしれません。
しかし、社会人としては必ず理解しておかなければならない大切な仕組みです。高校卒業後、正社員として企業へ就職する人は、入社と同時に社会保険へ加入することになります。
社会保険に加入した会社員は、毎月の給料から社会保険料が天引きされますが、「いくら引かれるの?」「何のためのお金なの?」と疑問に思う高校生も多いのではないでしょうか。
社会保険は、ただ給料からお金が引かれる制度ではありません。病気やけが、将来の年金など、もしもに備えるための大切な社会保障制度です。
この記事では、高校就活を控えた高校生にもわかりやすく、社会保険の仕組みや給料から引かれる理由を解説します。
- 目次
- 1.給料の全部がもらえるわけじゃない?「手取り」の計算式
- 2.引かれたお金はどこへ行く?社会保険の種類について
- 3.健康保険料と厚生年金保険料って?
- 4.雇用保険料とは?
- 5.労災保険とは?
- まとめ
1.給料の全部がもらえるわけじゃない?「手取り」の計算式
求人票に書かれている給与額=給料として口座に振り込まれる金額(手取り)ではありません。額面の給与から社会保険料や税金が引かれた金額が、「手取り」として自分の口座に振り込まれます。
・給与の計算式
手取り(振込額)=額面(基本給+諸手当)−社会保険料−税金(所得税・住民税)
- 額面(総支給額): 基本給に残業代や交通費などの諸手当を合計した金額です。
- 社会保険料: 健康保険、厚生年金、雇用保険など。
- 税金: 国に納める所得税と、自治体に納める住民税です。
※住民税は、社会人2年目の6月から引き始められるのが一般的です。
一般的に、手取り額は額面の約75〜85%になると言われています。
ただし、手取りの割合は人によって少し変わります。健康保険料や年金の金額は、住んでいる都道府県や、会社が加入している健康保険組合か協会けんぽかによって違います。また、40歳になると介護保険料が追加され、社会人2年目からは住民税の天引きも始まるため、手取り額は毎年同じとは限りません。
たとえば、額面が20万円なら、実際に振り込まれるのは15万〜17万円程です。あらかじめ知っておくと、生活費や一人暮らしの家賃設定、自由に使える金額などの計画が立てやすくなります。
「2割も引かれるの?」と驚いたかもしれませんが、この引かれたお金には、あなたを守るための大切な役割があるのです。
2.引かれたお金はどこへ行く?社会保険の種類について

社会保険とは、日本国民が安心して暮らせるように整えられている社会保障制度のひとつです。高校就活を経て企業に就職した高校生も、入社と同時に加入することになります。
社会保険には、
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険(40歳〜支払い開始)
・雇用保険
・労災保険(全額会社が負担)
などが含まれます。これらは、病気やけがをしたとき、出産をしたとき、失業したとき、そして老後を迎えたときなど、人生のさまざまな場面で私たちを支えてくれる制度です。
毎月決められた保険料を納めることで医療費の自己負担が軽くなったり、将来年金としてお金を受け取ることができます。
またこれらの社会保険料は、会社側もあなたと同額、またはそれ以上の保険料を肩代わりして払ってくれています。
つまり、実質的に支払う金額の倍以上の価値がある保障を受けられる、会社員ならではの特権です。個人負担分は給料から天引きされ、各保険制度へ支払われます。「給料が減った」と感じるかもしれませんが、社会保険は将来や万が一のための大切な備えなのです。
3.健康保険料と厚生年金保険料って?
・健康保険とは
健康保険は、けがや病気、死亡などに備えるための制度です。
正社員や一定の条件を満たしたパート・アルバイトの人は、社会保険(社保)に加入することが原則となっています。
もし卒業後に正社員ではなく、フリーターやフリーランスで働くかつ、社保の加入条件に満たない場合は、保護者の扶養に入るか、国民健康保険(国保)に加入することになります。
2024年12月より従来の保険証は発行されなくなり、自身のマイナンバーカードに保険証の機能が統合されました(マイナ保険証)。この保険に加入することで、風邪等で病院に行った場合の受診料が3割負担で済みます。
もし保険がなければ、全額自己負担となるため、初診で1万円近くかかることもあります。
また、健康保険料は 加入している保険の種類(協会けんぽ・健康保険組合など)や住んでいる地域によって料率が異なります。 そのため、実際にどれくらいの金額が給料から天引きされるかは会社によって多少違います。
さらに、健康保険には「傷病手当金」という制度もあります。これは、病気やけがで長期間仕事を休まなければならなくなった場合に、給料の約3分の2が最長1年6か月支給される仕組みです。
一見すると給料から保険料が引かれるのは負担に感じるかもしれませんが、万が一のときに自分を支えてくれる大切な制度です。
・公的年金とは
公的年金は、将来受け取る年金を積み立てるための制度です。
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する義務があり、健康保険と同様に、正社員や一定の条件を満たしたパート・アルバイトの人は厚生年金として、会社と金額を折半する形で支払います。 満20歳以上でフリーターやフリーランスで働くかつ、厚生年金の加入条件に満たない場合は、自分で国民年金として一定の金額を毎月支払います。
参考:厚生労働省「10代の皆さんへ | いっしょに検証! 公的年金」
これらの保険料を納めることで、原則65歳以降に老齢年金を受け取ることができ、老後の生活を支える備えになります。
また、公的年金は老後だけでなく、一定の障がいが残った場合に受け取れる「障害年金」や、加入者が亡くなった際に遺族が受け取れる「遺族年金」などの保障も含まれています。
4.雇用保険料とは?
雇用保険料とは、雇用保険に加入するために毎月支払う保険料のことです。
会社で働く人は、給料に応じて一定の割合で保険料を負担します。雇用保険料は、会社と従業員の両方が負担する仕組みになっています。保険料率は毎年見直されることがありますが、一般的に従業員が負担するのは給料の0.6%前後 です。従業員が負担する分は、毎月の給料から天引きされ、会社がまとめて国に納めます。
この保険料を支払うことで、万が一失業したときに基本手当(いわゆる失業保険・失業手当)を受け取ることができたり、育児休業給付などの制度も利用できます。働く人を支えるための大切な備えといえるでしょう。
※基本手当をもらうには、原則として12ヶ月以上(自己都合の場合)働いている必要があります。入社してすぐに退職した場合は、特定の条件に当てはまらない限り給付されないため注意が必要です。
5.労災保険とは?
労災保険とは、仕事中や通勤中にケガをしたり、病気になったりしたときに備えるための制度です。
原則として、一人でも従業員を雇っているすべての事業所に加入義務があります。最大の特徴は、健康保険や雇用保険とは異なり、保険料の全額を会社が負担するという点です。そのため、従業員の給料から天引きされることはありません。
この制度があることで、仕事が原因で治療が必要になった場合、自己負担なしで診察や治療を受けることができます。また、ケガなどで働けなくなった期間の賃金補償や、不幸にも亡くなってしまった場合の遺族への給付など、働く人とその家族を守るための手厚い保障が用意されています。
※アルバイトやパートタイムといった雇用形態に関係なく、すべての労働者が対象となります。ただし、仕事とは関係のないプライベートでのケガや病気は対象外となり、その場合は健康保険を利用することになります。
まとめ
社会人として働き始めると、給料から引かれるお金を見て、最初は少し驚くかもしれません。
今までは保護者が代わりに支払ってくれていたお金を自分自身で支払わなければならなくなります。いざという時に困らないためにも、こういった社会保険などの社会保障制度のことや、自分自身の給与について理解しておくことが必要です。
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